東京オリンピック、パラリンピックの公式エンブレムの最終候補の4作品公表についての雑感

ついに2020東京オリンピックパラリンピックの公式エンブレムの最終候補の4作品が発表されました。

去年の夏に盗作疑惑が浮上し、紆余曲折ありながらも白紙撤回と公募という異例の道を辿ったエンブレム。

 

まずは4候補についての感想から。

パッと見た感じで、すぐにおもったのは4案中3案はグーグルの提供する各種サービスのアイコン群の中に混ざっても違和感ないな、ということです。

国内でも同意見を持った方がおられるようですが、この点についてはむしろ海外に住む外国人のほうが敏感に反応しそうな気もします。

日本以上にグーグルの各種サービスが生活に入り込んでいて(その代表はもちろん検索機能)、且つなによりも単純なインターネット人口の頭数が多いですから。

世界中の人に見てもらう、そして出来たら愛してもらいたい東京五輪のエンブレム。

もし仮にこのような海外からの揶揄があった場合に日本(人)はどういう反応をするのでしょうか。まあこの辺はどうなるかはわからないですね。

 

そして

じつはこのグーグルのアイコンに似てくるんじゃないかというのは半年前の白紙撤回のときに既に個人的に感じていたことでもあります。

 

当時、盗作疑惑が沸騰している最中、様々な個人が独自でエンブレムデザイン案をネット上に公開していましたが、ネット上の意見でも各種メディアの中でも一番人気のあったエンブレム案は、カラフルな花(桜?)を模した円形のあの招致段階のエンブレムだったわけです。

そんな中で新たに公募が行われるとしたら、十中八九、あの国民人気一位の招致エンブレムに近いデザインに寄せてくる応募者が多数いるだろうな、ということが想像できたのです。

しかし、盗作騒動の熱量が残っていたあの当時に招致エンブレムに近すぎるデザイン案を制作する人もいないだろうというところから、おそらく一番人気のデザインから人気を得られそうな「要素」のみを抽出した案が大量に応募されるのではないかとおもったわけです。

当時、ぼくが感じていた招致エンブレムが愛されるその「要素」とは、花、円形のデザイン、カラフル、JOYFUL(喜びのイメージ)などでした。

しかし、なかでも特に円形デザインでカラフルなんていうのはデザインに取り入れたら、グーグルの各種サービスのアイコンに似ていきそうだな、なんてことが頭の片隅にふわふわと浮かんでいたわけです。

 

ただ、公募案を選別するエンブレム委員会のメンバーもこの当時の状況(情況)、あと(あまり使いたくない言葉ですけど)空気を感じ取っているはずなので、上記のようなイメージを持つエンブレム案がおのずから残されていくんじゃないかとも予想できました。

なので、選考に勝ち残ろうとおもったらこういうイメージを持たせたデザイン案のほうがむしろ優位に立てるのかなとも考えたわけですが、想像通り四分の三がそんな感じで、というかまず日本らしさって大事なんじゃなかったっけ?というような気もしてしまいます。

(候補の中では左端、中右の二つは日本らしいのかなとおもいました。)

 

グーグルっぽくはない、残りひとつである発表時の左端の候補、一つだけ色を抑えたものも色数を抑えるというアイデア自体が僕好みだったのですが(Tシャツなどのグッズにしたとき個人的には購買意欲がわくので)、デザイン自体はパッと見て「あれ、なんか国連とかのマークにありそうな・・・」とおもい、確認してみたら、全然似てない。

何でそんな印象を持ったのかはよく分からないままでした。

 

発表前の事前の個人的な考えでは、

桜がモチーフのもの(→夏のオリンピックなんだから、いくら日本を象徴するといっても桜はちょっと無理があるかな)

日本らしい五重塔がモチーフのもの(→京都オリンピックならアリだとおもうけど・・・)

というところが確信的に持ち合わせていた感情なので、そういう意味では今回の4候補は程度の差こそあれ、まずまずの納得感はありました。

ただこの中からどれか一つを選べといわれると、もう少し考えたいなとおもいました。

 

 

それと個人的には発表の仕方に問題があるようにおもえます。

第一に

4候補を国民の皆さんに見てもらって意見を出し合ってもらう。というならば、それぞれの候補に公式でA案B案C案D案なりを振ってもらわないと議論がしづらいということ

公式ページではきちんとナンバーが振ってありました。失礼しました。

第二に

最初から壁にかけた候補作をカーテンはずしてお披露目ということでしたが、 あのようなやり方だと大抵、両端の候補を切って真ん中二つで勝負という風になりがちな気がします。

昔、何かの本で見た覚えがありますが、人間は複数候補があると中央から選びやすい傾向があるなんていわれていたような気がします。

あのような発表ではエンブレム委員会のほうではじめから真ん中二つの案に重心があるのではと勘ぐってしまいます。

委員会の思惑がどのように働いて、あのような並び順になったのか、が気になってしまいます。何せ一度、大きな不信を国民に抱かせてしまった事実は既にあるわけですから。

 

僕ならばより完璧に近い公平性を見せ付けるために、エンブレム委員会の委員長がボールくじを皆の前で引いて一候補目から順にデザイン案を大きなボードにしたものを発表というようにしたほうが良かった気がします。

それで一案目、二案目・・・ないしA案、B案・・・と、一案づつ壁に掛けていくとしたほうがよりよい公平な方法だったのではないでしょうか。

てっきり当たり前のようにそういう公平な発表順や並び順がなされるとおもっていたのですが、その点は少しだけ残念でした。

 

ただいずれにしても、これでようやく去年の夏から止まってしまったエンブレムが正式決定に向けて再び動き出したわけですから、すでに多くの声が上がっている「招致段階のモノが良かった」とか「パッとするのがない」と言っていてもしょうがないので、穏やかにそして速やかに皆に愛されるエンブレムが決まって欲しいものです。

 

じつは一つ起こりそうな問題についても考えたのですが、長くなってきたので次の記事に回したいとおもいます。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

 

東京五輪エンブレム最終候補4作品以外の落選していったデザインは?

東京オリンピックパラリンピックの公式エンブレムの最終候補4作品の公表に際して僕がこの土日から週明けにかけて起きるかもなと考えたのは、落選作品のネット上への大量アップです。

応募総数14599作品のうち、最終候補に残ったのは4作品のみ。

 

仮に一割の応募者が「自分のデザイン案は落ちました~。みなさんどうですか?ぜひ参考までに意見をください。」

とかなんとか言って自らが応募したデザイン案をネット上にアップしたとすると、それだけで1500件近くのデザイン数になります。
1%の人間でも150件近くにのぼります。
応募総数のうち、冷やかしのデザインが2~3割あったとしても、多くの応募者はかなり本気で正式採用を狙いに行っていたに違いありません。

 

最終候補が発表されてしまった以上、落選デザインにもはや意味はない。

だとしたら少しでも市場の目に触れさせて自分のデザインがどのような反応を得られるのかを知りたい。と思う応募者がいたとしてもおかしくはないとおもったのです。

そして、もし落選作品の中に圧倒的にネットユーザーの人気を獲得するようなデザイン案があった場合、エンブレム委員会に対して、再び批判の矛先が向くようなことも起こりえるのでないかというところまで想像してしまったのです。

僕個人としては、最終候補作から公式エンブレムが決まるということは脇においておいて、落選作品の出来映えを純粋に見てみたい。

一体、どのようなデザインが落とされていったのか知りたいという気持ちでいっぱいです。

そうしたところからも派生する問題として考えられるのは、最終候補4作品以外のデザインのほうが好きという勢力がどの程度、支配的になっていくのかということです。(この勢力には4作品以外なので招致エンブレムが良かったという人々も含まれます。)

先の盗作疑惑による白紙撤回は、このエンブレムは盗作だから変えなければならないという意見が支配的な勢力としてまとめあがっていった為に起こった事例だともいえます。

さすがに次も同じようなこと(再びの白紙撤回)が起こるとは考えにくいですが、だとしたらそうした勢力の不満のエネルギーがオリンピックの開催自体に疑問を呈するような言動に転化していったり、または「別にオリンピックなんてもうどうでもいいし・・・」といったような言動がネット上を中心に増えることによってオリンピック開催自体が盛り上がりに欠けるような展開のしかたに進んでいかないかが心配でもあります。


聖火台を含めた競技場の問題に開催費用の高騰も心配されていますし、これから決まっていく開会式の演出家の選定など国民の不満が沸々と湧き上がっていくかもしれない要素はまだまだ多く残されている現状がありそうです。

ただここ最近のオリンピック開催はどこの国でも国内で開催反対の声が上がるなんてことは当たり前にもなっているように見受けられるので、それほど心配しなくても良いのかもしれませんが。